
スペイン生まれで50年代からメキシコで活躍した建築構造家、フェリックス・キャンデラの作品集。
合理的な構造が外観だけでなく内部空間の質を豊かにするという、その王道っぷりに感激。
とりあえず四角っぽい箱を作っちゃう今の建築とは一味違いますね。
いままで構造デザインていうのを少し馬鹿にしていたところがあって、それは
世の中の奇抜な構造から「こんな新しい構造ができたよ、すごいだろ」っていう声が聞こえてくる気がするから。
設計者の自己満足じゃないかと思って。
だけどそういうのではなく、実現したい何かのために構造から考えていくことは、とりあえず四角から、っていうのよりも本質的な気がします。
そんな構造デザインの落としどころの一つがここにあるような気がする。
一万円の値打ちはあると思うなぁ。
買ったわけじゃないけど・・・。
キャンデラはコンクリート製のHP(ハイパボリック・パラボロイダル)シェルを使って、教会や工場、スポーツ施設など、ドーム状の建物を建てまくった人らしい。
HPシェルっていうのは、四角い布の向かい合う二辺を持ち上げて、別の二辺を下に引っ張るとできるもの。
馬の鞍みたいな形。
面内の応力だけで持っていて、曲げの力はかからない。
だから部材は薄くてよくて、基本の厚みは4センチ!
さらに薄いところは1.5センチ!
これで数十メートルの屋根+壁ができている。
もちろん柱はなし。
自然の貝殻とかと一緒。
そのHPシェルを様々に切り取り、組み合わせることでまったく違う建物が何通りも生み出された。
なんてシステマティックなんだ・・・。
だけどそれだけじゃない。
中の空間が独特なんだと思う。
天井の中心に向けて弧を描くコンクリートのシェルと、スリットから差し込む光。
本からだけじゃあ想像するしかないんだけど、包み込まれるような一種の別世界なんだろう。
代表作に教会が多いのでたぶんそう。
こういうのを見ると、数学得意な人がうらやましくなるなあ。